「何から変えればいいかわからない」
これが、私が一番長い間抱えていた問題だった。
ガジェットは世の中にたくさんある。
レビューを読んでいるうちに、全部良く見えてくる。
結局、何も決められないまま1週間過ぎる。
または、「どうせ買うなら全部まとめて変えよう」と思って、
ドカッと買って、ドカッと後悔する。
私は後者だった。
この記事は、「まず1つだけ変える」ための入り口だ。
5つのアイテムを紹介する。
でも、5つ全部そろえる必要はない。
自分の不調に合った1つを見つけて、それだけを試す。
それで変わったら、次を考える。
それだけでいい。
① トラックボール(肩・手首が気になる人向け)
仕事が立て込んでいた頃、夕方になると無意識に手首をブラブラさせていた。
ズキッとくるわけじゃない。
ただ、手首の奥がじわりと熱を帯びてくる。
仕事が終わるころには、手首のことばかり考えていた。
気づいたら、マウスの持ち方が変わっていた。
手首を外側に倒して、指を少し浮かせるような角度で握っていた。
自分でも不自然だとわかっていた。でも、そのほうが楽だった。
「年齢のせい」にしていた。
でも、腕ごと動かし続けるマウスの設計が問題だったと、あとから気づいた。
トラックボールは腕を動かさない。
指先でボールを転がすだけでカーソルが動く。
変えた初日、カーソルが全然動かなくて笑いそうになった。
慣れるまで2〜3日かかる。
でも慣れてしまうと、もうマウスには戻れなかった。
手首が崩れなくなった、というのが正確な表現だと思う。
痛みがゼロになったわけじゃない。でも、夕方に持ち方がどんどんずれていくあれが、なくなった。
肩の重さや、手首の痛みが気になっている人は、まずここから試してみてほしい。
こんな症状があるなら先に試していい
- マウスを動かすたびに、肩や肘が連動して動いている
- 夕方になると、マウス側(右)の肩だけが重くなる
- 手首を、意識せずブラブラさせていることがある
1つでも当てはまるなら、腕を動かす設計のまま使い続けていることが原因かもしれない。
私が選ばなかったもの
MX ERGO Sも候補にあった。
角度調整の機構が魅力で、何度も確認した。ただ当時の価格は1万7千円前後。「まず肩が楽になるかどうか」を確認したい段階で出せる金額ではなかった。
ERGO M575(約6,000円)にした理由は、価格が「確認するためのコスト」として許容できたから。
親指操作で自分の手の大きさに合っていた、という感覚は使い始めてから気づいた。
3年後の今も変えていない。
詳しい話はこの記事に書いた。
② ノートPCスタンド(首・目線が気になる人向け)
16時ごろ、首の後ろがじわりと重くなる。
モニターの文字を追っているはずなのに、同じ行を何度もなぞっている。
ずっと、椅子のせいだと思っていた。
ある日、妻に言われた。
「そんなに高いもの買う前に、机とモニターの高さ、一回測ってみたら?」
正直ムッとした。
でも夜、一人でワークスペースに戻って、子供の筆箱から100円の定規を借りた。
モニターの前に座って、目の高さから画面の上端までの距離を測る。
思っていたより、ずっと低かった。
1ミリ、2ミリ。
スタンドの角度を変えては座り直し、首の感覚を確かめる。
上げすぎると顎が上がる。下げすぎると、また首が前に出る。
数えていなかったけれど、何十回と繰り返した。
私の場合は、ガイドラインよりさらに3.5cm下げたところが一番しっくりきた。
顎が自然に引けた。呼吸が、肺の奥まで入ってきた。
椅子より先に、画面の位置だった。
スタンドを導入するときの注意が一つある。
画面を上げると、本体キーボードの位置も上がる。
そのまま打ち続けると手首が苦しくなる。
スタンドと外付けキーボードはセットで考えること。
こんな症状があるなら先に試していい
- ノートPCを机に直置きして作業している
- 夕方になると首の後ろ、または目の奥が重くなる
- 作業中、気づくと顎が前に出ている
画面が低いと、自然に頭が前に出る。その姿勢が数時間続けば、首への負担は想像しやすいと思う。
私が選ばなかったもの
折りたたみ式の軽量スタンドも試した。
携帯性は高かったが、ヒンジが緩くて角度がずれた。「3.5cm単位で高さを合わせたい」という目的には合わなかった。
BoYataにしたのは、角度を細かく固定できること、3年使ってもヒンジにゆるみがないことの2点。
最初は「少し重い」と感じたが、在宅ワークで持ち運びしないなら重さは関係なかった。
3年使ってもヒンジが固いまま、というBoYataの信頼感についてはこの記事に書いた。
③ 外付けキーボード(肩・打鍵が気になる人向け)
PCスタンドを入れたら、外付けキーボードは必須になる。
でも、最初は「スタンドだけ買えばいいだろ」と思ってスキップした。
スタンドで画面を上げると、キーボードも一緒に高くなる。
手首が宙に浮く。そのまま打とうとすると、手首が反る。
それを毎日8時間続けた。
腱鞘炎の手前まで行った。
気づいたことがある。
手首が痛い状態で作業していると、指の動きが萎縮してくる。
打ちたいキーに指が向かうのに、わずかに躊躇がある感じ。
速く打てなくなるんじゃなくて、打つのが少しずつ億劫になる。
外付けキーボードにしてから、その感覚が消えた。
手首が楽になると、指が素直に動く。
外付けキーボードで変わることは2つある。
一つは、キーボードを体から少し離して置けること(肩が広がる)。
もう一つは、テンキーをなくすことで右肩の動きが減ること。
私はロジクールのK835GPR(テンキーレス・赤軸)を使っている。
3年目に入った今も変えていない。
こんな症状があるなら先に試していい
- スタンドで画面を上げてから、手首が以前より疲れるようになった
- マウスまでの距離が遠い気がする(テンキーをまたいで右腕を伸ばしている)
- 長時間打っていると、指より先に肩が疲れてくる
スタンドを入れて画面の高さを整えた後、キーボードを放置すると手首が折れた状態で作業することになる。私はそれで腱鞘炎の手前まで行った。
私が選ばなかったもの
テンキーありのフルサイズキーボードも試した。
「テンキーは使うかもしれない」という考えだったが、実際はほとんど使わなかった。そしてマウスまでの距離が遠くなり、右肩の動きが増えた。
メンブレン式の安価なキーボードも持っていた。
打鍵感が軽すぎて指への感触が薄く、打ち間違いが増えた。
K835GPR(テンキーレス・赤軸)にした理由は、テンキーをなくして右肩への負担を減らすこと。
赤軸の打鍵感が長時間作業に合っていた。3年目でキーの引っかかりもない。
キーボードを3回変えた失敗談はこの記事に詳しく書いた。
④ フットレスト(腰・下半身が気になる人向け)
「フットレスト如きで何が変わるんだ」と思っていた。
でも、変わった。
椅子の高さを腕に合わせると、足が浮く。
足が浮くと骨盤が安定しない。
骨盤が安定しないと、腰が全部支えることになる。
3,000円のフットレストを入れたら、夕方の「腰が重い」感覚がかなり軽くなった。
こんな症状があるなら先に試していい
- 椅子の高さをデスク・腕に合わせると、足が浮く
- 長時間座っていると骨盤が傾いてくる感覚がある
- 腰痛より先に「腰の重さ」が夕方に来る
足が浮いた状態で何時間も座ると、骨盤が安定せず腰だけで上半身を支えることになる。
フットレストは「なくても作業はできる」が、あるとないとで腰への蓄積が変わった。
私が選ばなかったもの
最初はタオルを折りたたんで代わりに使っていた。
高さの調整はできるが、ずれる。集中しているといつの間にか端に寄っていた。1週間で使わなくなった。
ロッキング機能つきの高価格帯も見た。
「足を動かしながら作業する」という発想が自分には合わなかった。集中しているときは、足を安定させておくほうが楽だった。
3,000円のシンプルなものを選んだのは、傾斜がかかとからつま先を自然に支えてくれるから。
地味だが、それだけで骨盤の安定が変わった。
4万円の椅子より先に効いた、という話はこの記事に書いてある。
⑤ チェア(全体的な疲れ・座り心地が気になる人向け)
腰が重くて、椅子のレビューサイトを何度も開いていた時期があった。
10万円、15万円。
お小遣いでは果てしなく遠い。
でも、この重さが消えるなら。そう思って、同じページを繰り返し開いていた。
ただ、その前に足元を変えた。画面の位置を変えた。キーボードを変えた。
椅子は何も変えていないのに、腰の重さが少し変わった。
そこで気づいた。
土台が整っていない状態では、椅子の性能が体に届いていなかったということに。
だからチェアは「最後に変えるもの」だと思っている。
私はサリダYL9(4万円)を使っているが、
買った直後はまだ腰に違和感があった。
1,500円のAmazonクッションを背中に当てたら、ぴたっとはまった。
高い椅子が正解とは限らない。
こんな症状があるなら先に試していい
- 足元・視線・手元を整えても、まだ腰が楽にならない
- どんな姿勢にしても、座って30〜40分で腰に違和感が出る
- 椅子に問題があるのか、自分の座り方に問題があるのかわからない
チェアを変えるなら、足元・画面・キーボードを先に整えてからのほうがいい。
土台が不安定なまま高い椅子を入れても、体が正しく受け取れない。
私が選ばなかったもの
格安チェア(5,000円以下)は2脚試した。
どちらも座面がヘタるのが早く、1〜2年で捨てた。結果的に高くついた。
アーロンチェア等ハイエンドは試座して「良い」と思った。
ただ、自分の腰の形と本当に合っているかを確かめる手段がなく、10万円以上の投資を決断できなかった。
サリダYL9(約4万円)にしたのは、ランバーサポートの位置が調整できたから。
ただ、買った直後は腰に違和感があった。1,500円のAmazonクッションを背中に追加して初めてぴたっとはまった。
「椅子単体で完結する」とは限らない、という教訓になっている。
「自分の腰の形と合っているか」が先だ、ということはこの記事に詳しく書いた。
自分の不調から引いてみる
迷ったときは、今一番気になっている体の場所から選べばいい。
首や目線が重いなら、まずノートPCスタンド。
スタンドを入れると画面が上がる分、外付けキーボードも一緒に検討したほうが早い。
肩こりや手首の痛みが先に来るなら、トラックボール。
腕を動かさなくなるだけで、肩への負担は変わる。
腰や下半身が気になるなら、フットレストを先に試す。
椅子を変える前に、足元を変えることで変わることがある。
全体的にだるくて椅子を疑っているなら、①〜④を先に整えてから判断する。
土台が不安定なまま高い椅子を入れても、体に届かない。
どれも「絶対にこれ」という正解はない。
体の状態も、作業環境も、人それぞれ違う。
ただ、「自分の不調に対応しているもの」から始めること、
そして「一度に全部変えない」こと。
この2つを守るだけで、無駄な失敗はかなり減る。
導入する順番全体については、失敗から学んだランキング記事にまとめてある。
「なぜこの順番なのか」を失敗の経緯から理解したい人はこちらが先かもしれない。
参考情報
スポーツ庁「座りすぎが健康リスクを高める」
免責事項
この記事は個人の体験に基づくものであり、効果には個人差があります。
慢性的な痛みや症状がある場合は、専門医にご相談ください。
